最終更新日: 2023 年 5 月 7 日
農地転用許可制度とは
初めに、この農地転用許可制度とは、農地を住宅敷地、工場敷地、駐車場、太陽光発電所敷地、産業廃棄物処理施設、資材置場などに用途変更することをいいます。
本記事では農地転用許可制度の概要から手続きについて解説をしています。
農地転用許可制度の概要
まず、基本的に、農地を転用(農地を農地以外にすること)をしようとする場合には、その行為を行なう前に農業委員会の許可(4ヘクタール以下の場合)を受けるか、農業委員会へ届出を行なわなければなりません。
また、いかなる場合でも、市街化区域、市街化調整区域に関らず、どちらの場合にも農地転用の手続きは必要になります。
したがって、そのために、市街化調整区域にある農地の転用についての規制の概要、許可の申請方法や必要となる書類や書類の説明、申請の受付窓口、受付期間などは、各地方自治体(市役所、区役所、役場など)にある農業委員会の窓口や電話などで案内を確認します。
農地法(昭和27年法律第229号)
まず、農地転用許可制度は「農地法(昭和27年法律第229号)」に基づく許可の制度で、国土の計画的かつ合理的な土地利用の観点から、農業と農業以外の土地利用計画との調整を図りながら、優良農地を確保して、農業生産力を維持するとともに農業経営の安定を図るためのものだそうです。
特に日本は食料自給率が低く人々の食糧を生産するためには農地を保全するため厳しく規制することはとても大切だということです。
しかし、ある条件を満たした場合で、同時に、農地を農地以外にする合理的な理由や、やむを得ない理由があるなど、農地を農地以外のものに転用することを認めざるを得ない場合がある、その場合には許可という形で農地転用を認めますよという制度が農地転用許可制度です。
ちなみに、登記簿謄本上での地目が宅地や雑種地であったとしても、現況が農地や採草放牧地の場合は農地の扱いになります。
都市計画法の区域区分
日本の国土は、都市計画区域と準都市計画区域、都市計画区域外にわけられる。
都市計画区域 | 準都市計画区域 | 都市計画区域外 |
---|---|---|
①市街化区域 ②市街化調整区域 | ①非線引き都市計画区域 ②区域区分指定がない区域 | 指定なし |
市街化区域の農地転用許可
農地が市街化区域にある場合は、市町村の農業委員会への届出によって農地転用できます。
ただし、土地の面積の大きさによって他法令の許可が必要になる場合があります。
たとえば、農地転用のあとに開発行為がある場合において、開発区域が1,000㎡以上の場合は、都市計画法第29条の開発許可が必要です。
※開発許可権者が条例で300㎡まで引き下げ可能
※愛知県名古屋市においては開発区域が500㎡以上の場合は都市計画法29条許可(開発許可)が必要になります。
ちなみに、市街化区域の定義は、都市計画法において「すでに市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」となっています。
市街化調整区域の農地転用許可
基本的に、市街化調整区域の農地転用の許可権者は都道府県知事ですが、都道府県知事から権限移譲を受けている市町村に関しては、各市町村の農業委員会が許可権者になります。
農地転用面積が4ヘクタール超の場合は、農林水産大臣との協議が必要です。
さらに、農地転用の目的が建築行為や開発行為となるならば、都市計画法29条許可(開発許可)または都市計画法35条許可(建築許可)が必要です。
市街化調整区域の農地転用においては、原則として、都計法29条許可または都計法35条許可との同時申請・同時許可となり、これが他法令の許認可になります。
ちなみに、市街化調整区域の定義は、都市計画法において「市街化を抑制すべき区域」となっています。
非線引き都市計画区域の農地転用許可
原則として、農地転用の許可は必要です。
そして、さらに、農地転用の目的が建築行為や開発行為となる場合で、土地の面積が3,000㎡以上の場合は、都市計画法29条の開発許可が必要です。
農地転用面積が4ヘクタール超の場合は、農林水産大臣との協議が必要です。
ちなみに、非線引き区域とは、都市計画区域内の中で市街化区域・市街化調整区域いずれにも区分されていない地域のことです。
都市計画区域外の農地転用許可
原則として、農地転用の許可は必要です。
そして、さらに、農地転用の目的が建築行為や開発行為となる場合で、土地の面積が10,000㎡以上の場合は、都市計画法29条の開発許可が必要です。
農地転用面積が4ヘクタール超の場合は、農林水産大臣との協議が必要です。
農地転用と言っても、転用しようとする農地が、どの場所にあるかによって規制の内容や、難易度が異なります。
何の目的での農地転用かにもよりますが、農地転用の目的、区域、農地の種別などを調査する必要があります。
農業振興地域制度と農地転用許可制度の概要
農地法とは農地法(昭和27年制定)のことをいう。
農振法とは「農業振興地域の整備に関する法律」のことをいう。
農地転用許可制度の基礎となっているものは農地法で、第一条には農地を農地以外のものにすることを規制する、なぜならば食糧安定供給において、農業生産の基盤は農地で農業と耕作者と農業上の利用と営農に適した環境を確保するため、とされています。
そして、農地の転用を規制した上で、例外的に農地転用を認める場合があるとされています。
その例外的条件が定められているのが許可基準です。
許可基準は農地区分ごとの許可基準である「立地基準」と、農地区分に縛られない「一般基準」があります。
立地基準
農振法 | 農地法 |
---|---|
農業振興地域制度 農業上の土地利用のゾーニング | 農地転用許可制度 個別転用を規制 |
都道府県知事が指定 | 都道府県知事 農林水産大臣が指定する市町村長の長 (4ヘクタール超は農林水産大臣に協議) |
長期にわたり総合的に農業振興を図る地域→ 市町村の農業振興地域整備計画で設定 ※転用禁止※ | 原則不許可 |
農振白地地域→ 農業振興地域外(市街化調整区域)→ | 詳細は下表参照 ①第一種農地:原則不許可 ②第二種農地:③に立地困難な場合に許可 ③第三種農地:原則許可 |
農業振興地域外(市街化区域)→ | 届出 |
農地の種目
種目 | 詳細 | 立地基準 |
---|---|---|
農用地区域内農地 | 農業振興地域 | 原則不許可 |
甲種農地 | 農業公共投資後8年以内 農地 集団農地で高性能農業機械での営農可能農地 | 原則不許可 例外許可① |
第一種農地 | 集団農地 土地改良事業対象農地 等 | 原則不許可 例外許可② |
第二種農地 | 土地改良事業の対象となっていない 町集団の生産力の低い農地 等 | 第三種農地に 立地困難な場合に許可 |
第三種農地 | 市街地にある農地 等 | 原則許可 |
上記以外の農地 | 市街化にある農地 | 届出制 |
例外許可の詳細
例外許可の別 | 詳細 |
---|---|
例外許可① | :農業用施設 :農産物加工・販売施設 :集落接続等の住宅等(500㎡以内) ※第一種農地以下の土地に立地困難な場合 :地域の農業の振興に関する地方公共団体の計画に基づく施設 :農村産業法、地域未来投資促進法等による調整が整った施設 等 |
例外許可② | :農業用施設 :農産物加工・販売施設 :土地収用の対象となる施設 :集落接続の住宅等(甲種農地、第一種農地以外の土地に立地困難な場合) :地域の農業の振興に関する地方公共団体の計画に基づく施設 :農村産業法、地域未来投資促進法等による調整が整った施設 等 |
等 とありますが、例示列挙ではなく限定列挙と考えた方が良いです。
一般基準
行番号 | 一般基準 以下に該当する場合は不許可 |
---|---|
1 | 転用の確実性が認められない場合 ・他法令の許認可の見込みがない場合 ・関係権利者の同意がない場合 |
2 | 周辺農地への被害防除措置が適切でない場合 |
3 | 農地の利用の集積に支障を及ぼす場合 |
4 | 一時転用の場合に農地への原状回復が確実と認められない場合 |
許可不要となる場合
行番号 | 許可不要の理由 |
---|---|
1 | 国、都道府県知事、指定市町村が行う場合(学校、社会福祉施設、病院、庁舎及び宿舎を除く) |
2 | 土地収用される場合 |
3 | 農業経営基盤強化促進法による場合 |
4 | 市町村が土地収用法対象事業のために転用する場合(学校、社会福祉施設、病院及び庁舎を除く) 等 |
法定協犠制度
国、都道府県、指定市町村が学校、社会福祉施設、病院、庁舎及び宿舎を設置しようとする場合、転用許可権者と協議が成立すれば許可があったものとみなされる。
法律違反と措置
農地転用の許可を受けずに無断で農地を転用した場合や、許可された申請の事業計画通りに転用していない場合は、農地法違反になります。
この場合、都道府県知事等から原状回復等の命令や工事中止の命令がされることがあります。(農地法第51条)
また、さらに3年以下の懲役や300万円以下の罰金(法人は1億円以下)の罰金が科されることがあります。
農業委員会は農地のパトロールを常に行っており無断転用、違反転用は必ず見つかります。
農地転用の種類
許可申請には以下のように大きくわけて三種類あります。
内容 | 詳細 | |
---|---|---|
3条 | 移転 | 所有権や使用権などの権利に関する場合 |
4条 | 転用 | 農地を農地以外にする場合 |
5条 | 転用移転 | 所有権の移転と同時に、農地を農地以外にする場合 |
農地転用許可の手続き
農地転用許可申請をする場合は、農地転用許可申請書に必要な書類を添付し、転用しようとする農地の所在する市町村の農業委員会を経由して都道府県知事等に提出し許可を受けます。
許可申請者 | |
---|---|
農地法第4条 | 農地を転用する者 |
農地法第5条 | 転用する農地の譲渡人と譲受人(連署で申請) |
農地転用許可申請書の添付書類
- 法人にあっては、定款若しくは寄付行為の写し又は法人の登記事項証明書
- 土地の位置を示す地図
- 土地の登記事項証明書(全部事項証明書)
- 公図
- 申請に係る土地に設置しようとする建物その他の施設及びこれらの施設を利用するため必要な道路、用排水施設その他の施設の位置を明らかにした図面
- 資金計画に基づいて事業を実施するために必要な資力及び信用があることを証する書面
- 申請に係る農地を転用する行為の妨げとなる権利を有する者がある場合には、その同意があったことを証する書面
- 申請土地が土地改良区の地区内にある場合には、その土地改良区の意見書
- その他参考となる書類
市街化区域内の農地を転用する場合は、あらかじめ農地の所在する市町村の農業委員会に必要な書類を添付して届出をする必要があります。
農地転用届出書の添付書類
- 土地の位置を示す地図
- 土地の登記事項証明書(全部事項証明書)
- 賃借権が設定されている場合には、解約の許可等があったことを証する書面
農地転用の流れ
関係法令・通知・様式
農地法関係事務に係る処理基準など、関係文書や通知文書は農林水産省のリンクから御覧いただけます。
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